11月28日、タロコ国立公園管理事務所(以下、太管処)の設立38周年を記念して、タロコビジターセンターにて記者会見が開催されました。映像作品「箱舟タロコ」は、太管処が2年間をかけて撮影・制作したもので、タロコ固有の生物たちがその生命力を見せる内容となっています。記者会見には、行政院東部共同サービスセンター副事務局長の郭英儀氏が特別参加しました。
太管処副所長の林忠杉氏は、「タロコ国立公園の大部分は高山や深い渓谷、断崖などの険しい地形で構成されており、これらの地域は多くの希少な種が自由に生育・繁殖する場所となっています。そのため、太魯閣は生命を包み込む“箱舟”のような存在であり、これらの種の保護区となっています」と述べました。今年は強い地震や台風による被害がありましたが、「皆さんの保護の下で、太魯閣の生態系は強靭な生命力を発揮して地震後の環境に適応しそれぞれの居場所を見つけていくだろうと語りました。生命の回復力を示し続けると信じています」と強調しました。
林副所長はまた、「太魯閣(Taroko)の文字を分解して再構成すると“Ark Too”になることもでき、“Ark”は箱舟を意味します。この偶然は、太魯閣が種や人類を守る“箱舟”であることを示しているように感じられます」と述べました。そして、「太魯閣のすべての動植物や人々は、この箱舟の中で守られています」と語りました。 映像作品は「自然の箱舟」「残存種を守る」「タロコの名のもとに」「逆境にいきる命」「峡谷をわたる音」の5つのユニットで構成されており、そそり立つ海岸、峡谷、急峻な山々など多様な景観や棲息地の環境だけでなく、氷河時代の残存種や特殊な石灰岩植物なども紹介しています。
動植物の中には地理条件がシールドとなりに独特の進化を遂げてタロコ固有種となった物があります。これらの中には例えばタロコガシ(Quercus tarokoensis)、タロコマンネングサ(Sedum tarokoense H.W.Lin)、タロコヘビノボラズ(Berberis tarokoensis)、清水山石竹(Dianthus Qingshui Masam)、タイリンアカバナ(Epilobium nankotaizanense)、ヒョウガサンショウウオ(Hynobius glacialis)、シロバナノコウチドリ(Orchis kiraishiensis)などタロコ公園内の地名や山名を取って命名された物が少なくありません。植物学者によるとタロコ固有或いはタロコを主な分布地とする植物は48種、タロコに関連した地名や山の名前を取って命名された植物は70種類を超えるといわれています。
撮影チームは制作の後期に偶然にも「0403地震」の前後の映像を記録する機会を得ました。そのため、映像では峡谷の地形の変化も見ることができます。林副所長は、「地震は景観や施設に被害をもたらしましたが、一方で太魯閣の高山渓谷を形作る重要な自然の力でもあります」と説明しました。「損傷した施設は段階的に修復され、保護と継続的な監視の下で、生態も強靭な生命力を発揮して地震後の環境に適応しそれぞれの居場所を見つけていくだろう」と語りました。
映像作品「箱舟タロコ」は上映時間が約23分で、中国語版と英語版が用意されています。各ユニットは独立した短編ビデオとしても楽しめます。11月28日から太魯閣ビジターセンターのブリーフィングルームで毎日上映されるほか、太魯閣国立公園のYouTubeチャンネルでもご覧になれます。