武嶺は合歓主峰と東峰の間の鞍部にあたるところで、海抜3275m、中部東西横貫公路の最高地点にあたり、台湾全土で車でアプローチできる一番高いところです。この一帯は日の当たらない斜面なので冬は雪が降らなくても、岩壁に氷柱が見られます。展望台に立つと奇來山峰を筆頭に中央山脈の山々の稜線を一望することができます。晴天だと遠く能高山、台湾最高峰の玉山まで見え、展望台の横の小道から合歓主峰に登ると中央山脈西側の濁水渓流域の清境、霧社、埔里から西海岸平原まで見渡すことができます。
武嶺から2km西に昆陽というところがあります。合歓主峰の南側に海抜3091mのところにある平らなテラスで、太魯閣国立公園の西の境界にあたります。1910年から1920年日本人の太魯閣地域の探検家、測量隊はここから出発して峡谷に入っていきました。1935年合歓越嶺健行道(今でいうハイキングルート)が全線整備されたあと、ここには合歓山警官駐在所と当時の台湾国立公園協会が出資して建てた100人収容できる宿泊施設が設けられました。現在の道路は大部分が戦前の合歓山越嶺健行道を拡張して使われているものです。