2024年4月3日の地震およびその後の連続台風の影響で甚大な被害を受けたため、現在閉鎖中です。ビジターセンターの東にある砂卡礑トンネルを抜けると両側の欄干に白い大理石で彫られた獅子が並ぶ赤い橋にでます。砂卡礑渓にかかる砂卡礑橋です。 橋のたもとの階段をおりたところが砂卡礑遊歩道の起点です。この道はもと太魯閣族が狩猟や部落同士の通路にしていた狭い小道を、1930年日本統治時代に水力発電用のダム建設資材や送水管を運ぶために今の規模に拡張したものです。昔太魯閣の山中は、太魯閣族のガードが固く、入るには危険が伴い、太魯閣事件後、原住民が平地に移住させられた後は、当時盛んだった金脈探査にも使用されたりして一般の人には入り難く、「砂卡礑」の前は2001年まで「神秘谷」という名前で呼ばれていました。「砂卡礑(Shakadang)」とは太魯閣族の言葉で臼歯を意味します。その昔、太魯閣族の祖先がここに移ってきた頃、大きな臼歯を掘り当てたとか、川底に形が臼歯に似た岩があったからとかそのいわれは今となっては定かではありませんが、川底に大きなものでは家ほどもある大小さまざまな角の取れた石は、太魯閣族の人達には「砂卡礑(Shakadang)」に見えたとしても頷けるものがあります。砂卡礑渓沿いには大理石の岸壁がつづきます。その見事な褶曲模様は二、三億年前に大理石が形成されてから大きな地殻変動を経てきた歴史を私たちに語りかけ、透き通った渓流のトルコブルーの水にその姿を映している景観はいつ見ても溜息がでるくらい美しいものです。砂卡礑遊歩道は海抜約60mのところにあって、熱帯季節風雨林の植物を観察するには最高の場所です。日の当たりにくい湿ったところでは、シダやコケの仲間が、傾斜が緩やかなところでは背がたかい常緑樹が、傾斜がきついところでは背の低い岩生植物が自生しています。またオオタニワタリなどの著生植物もあちこちで目につきます。森林ときれいな水は野生動物にとてもよい環境で、散策の間に蝶や虫、野鳥にもたくさん会います。まれにタイワンザルなどの哺乳動物がコースのあちこちに残していった糞や食べかすなど証拠物体を目にすることもあります。