九曲洞は太魯閣峡谷で一番美しいところといえるでしょう。入り口から700mの地点で折り返しとなります。高く聳える山肌に造られた遊歩道は眼下に立霧渓の急流が流れ、両岸から迫りくるような大自然の造形は圧巻です。岩壁の大理石の褶曲模様、断層、節理、絶壁に張り付くように根を張る岩生植物などじっくり鑑賞してください。平坦な遊歩道は大衆向けで地質について学べるスポットでもあります。

九曲洞トンネル
歴史
九曲洞遊歩道はもとは車両が行き来する中横公路の一部でした。1996年に九曲洞トンネルが開通し旧車道は遊歩道として利用されるようになり、安全のため様々な設備の施工を繰り返しできたのが現在の遊歩道です。遊歩道の途中、中横公路工事期間中に造られた岩をくり抜いたトンネルや岩肌があり、1950年代当時の工法をうかがうことができます。その他にも遊歩道の渓流側の岩に細く掘られた通路が日本が統治していたころ造った「産金道路」の工事用足場の跡として残っています。

九曲洞の景観
地質
遊歩道の入り口付近の岩壁に縦に走る割目が何本も見られます。これが断層です。地殻変動により岩盤に力が加わって割れてずれ動いたものです。このような断層がタロコ国立公園には至る所にあります。

九曲洞の地質
【見どころ1 遊歩道入り口付近】
遊歩道の入り口は九曲洞トンネル西側出入口脇です。遊歩道には車両の乗り入れはできません。入り口付近にバス停、トイレなどがあります。利用者や通行車両が安全に景観を楽しめるよう九曲洞トンネルに繋げて設けられた落石防止対策のロックシェッドが目印です。

九曲洞遊歩道入口
【見どころ2 水の景観遊歩道】
遊歩道は入り口から200mあたりのところから少し下る形になっています。水音が近くに聞こえ立霧渓の急流の浸食の威力が感じられる場所です。
【見どころ3 鯉の滝登り(科蘭溪)】
立霧渓に流れる対岸の細い水流が岩を浸食して曲線を描きながら小さな峡谷を形作っています。水に削られた岩が急流を上る大きな魚に見えることから「鯉の滝登り」と呼ばれるようになりました。
【見どころ4 九曲蟠龍】
遊歩道の壁に梁寒操の書「九曲蟠龍(ばんりゅう)」の四文字が刻まれています。ここは丁度二つのトンネルの間にぽっかり空いた空間で峡谷の景観が最も壮大に見えるところです。上流にあたる西側から深く削られてきた峡谷が下流の東側で急に狭くなり対岸との距離が最も短くなります。一線天と呼ばれる場所です。ここは狭くなった地形の関係で上昇気流が体感できます。
九曲洞遊歩道の壁には「九曲蟠龍」の他に黃杰將軍が書いた「如腸之迴,如河之曲,人定勝天,開此其局(腸のごとく廻り、河のごとく曲がるも、人必ずや天に勝ち、この奇局を開く)」が刻まれています。九曲洞だけでなく中横公路には岩壁に刻まれた文字がところどころにあり、タロコ峡谷の特色の一つになっています。

九曲蟠龍
【見どころ5 遊歩道終點(折返し地点)】
入口から700mが折り返し地点です。