靳珩橋を通過すると、両岸の岩壁がさらに険しく迫ってきます。中横公路178km地点に着くと、正面に現われるのは垂直にそそり立つ幅約1,200m、高さ約1,100mの大理石の絶壁。道路から渓谷を隔てた対岸に見えるのが錐麓断崖です。また、道路側の錐麓断崖と渓谷を隔てて対峙するのが福磯断崖です。これは立霧渓による三角錐山の侵食により形成されたものです。2つの断崖の距離は僅か20m強で、立霧渓が100万年かけて彫刻した自然の壮観です。
地質・地形
錐麓断崖と福磯断崖は、全て大理石の岩塊から構成されています。地形の頻繁な隆起に加え、立霧渓の流れにより外的営力が増し、三角錐山の東南角は浸食を受けました。しかし、大理石は容易には崩れ落ちないため、このような険しい断崖が形成されました。
【錐麓古道】
錐麓古道は錐麓断崖の上、約3、400mの場所に延びる小さな道で、中横公路開通以前の唯一の要路でした。古道は巴達岡から慈母橋までの全長10.3kmです。海抜750~780mの区間は整備され、平坦でなだらかになっています。高地に立つと眼下にパノラマの景色が広がり、古道ハイキングの中で最も素晴らしい体験ができる区間です。現在、崩落により一部封鎖されているところがあります。